大王製紙前会長の井川意高（もとたか）容疑者（４７）＝会社法違反（特別背任）容疑で逮捕＝による巨額借り入れ事件は、同族企業で創業者一族が持つ絶大な力だけでなく、１００億円を超える巨額の金をのみ込んでしまう「カジノ賭博」の奥深い世界を改めて印象づけた。

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　大王製紙前会長の井川意高容疑者による巨額借り入れ事件で、井川容疑者が連結子会社に融資を命じる際に「余剰資金はいくらあるんだ」などと問い合わせていたことが２４日、関係者への取材で分かった。依頼時に子会社が出せる限度額の上限まで、融資を引き出そうとした意図があったとみられる。東京地検特捜部も同様の事実を把握しているもようで、詳しい融資実態を捜査している。

　関係者によると、井川容疑者は連結子会社の役員に電話をかけ、「今、そこにいくらある？」「余剰資金はいくらあるんだ」などと質問していた。役員から金額を聞き出し、その範囲内で融資額を決定。「明日までに振り込むように」などと指示し、自分名義やカジノ関連会社の口座を振込先に指定していた。

　井川容疑者から役員に対して融資を強要するような言動はなかったというが、「他言しないように」と口止めもしていた。

　融資を命じられた役員の一人は事件発覚後、周囲に「この会社で（井川容疑者に）反対できる人は誰もいない」と話していたという。

　井川容疑者は今年７～９月にかけて、取締役会の承認決議がないまま、連結子会社４社から計３２億円を口座に振り込ませて損害を与えたとして、特捜部に逮捕された。関係者によると、会社内外からの借入総額は百数十億円に上るとみられる。

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